■「新富津漁業協同組合」からのメッセージ
江戸時代より「江戸前海苔」として、世代を超え脈々と引き継がれて来た海苔養殖。その情熱と技術は若い世代へと伝わり、現在「新富津漁業協同組合」は、東京湾随一の生産量を誇ります。
美しい富士山の見える自然豊かで栄養豊富な富津の海で、新富津漁協の海苔師が一丸となって育てた力作の中から、さらに厳選した品のみをご用意させていただきました。
我々が自信を持っておすすめする、香り高く、歯切れの良い、味わい深い新富津の焼海苔です!是非、召し上がってください!!
■「新富津の焼のり」ができあがるまで
【1】海苔の種を育て採苗する
海苔づくりは、海苔の種を育てることから始まるのをご存知ですか? まずは牡蠣の殻に海苔の胞子を植え付け、水槽の中で育てます。
海苔の種が育ったら、今度は海苔網に種を付ける「陸上採苗(さいびょう)」を行います。
水槽に種が入った海水を張り、その上で海苔網を巻き付けた大きな水車を回すことで、水槽の中の種を網へ均一に付けることができます。
種が付いた網は水車から外して、一旦冷凍庫で保管します。
【2】網を海に張り出し、育苗する
水温が23度以下になる頃に、海苔網を海に張って「育苗(いくびょう)」します。約3週間、毎日網を干し、雑藻を駆除しながら海苔を丈夫に育てていく作業です。
海苔が1cm程度まで育ったら、網は冷凍庫で保管します。
【3】いよいよ海苔の収穫!
岸から1kmほど離れた海上の至るところに、海苔の畑ともいえる「浮き流し(ベタ流し)」が点在しています。ここに種網を張り、海苔が15〜20cm程度に育ったら、いよいよ収穫です!
漁期中は、ほぼ毎日朝一番に収穫作業を行います。
海苔を収穫するときに登場するのが「もぐり船」。船首から海に向かって伸びたフレームで海苔網を持ち上げ、巧みな操縦で船を少しずつ進めていき、船上に設置されたローターで海苔を刈り取っていきます。まるで船が障害物競走をしているような光景です。
刈り取った後も再び網を張ればまた海苔は成長しますが、1枚の網で収穫するのは4~5回を限度としています。理由は、常に新海苔に近い良質な海苔をつくるため。網の張り替えは非常に手間がかかりますが、頻繁に張り替えることで、質の高い新富津の海苔ができるのです!
近年、深刻な問題となったのが、魚が海苔を食べてしまうこと。この被害により、一時収穫量が激減してしまいました。
現在、新富津の漁師たちは海苔網の下に防魚ネットを張る対策をとっています。海苔を収穫する直前に舟から身を乗り出して防魚ネットを外し、収穫後すぐに張り直す作業が必要です。時間が取られる上、収穫期が寒さ厳しい真冬のため、この作業はとても過酷です。
このような漁師たちの弛まない努力も、この機会に知っていただければと思います。
【4】収穫した海苔を洗浄・乾燥
刈り取った海苔を陸にあげます。これが「生海苔」と呼ばれるものです。鮮度の問題などで市場にあまり出回らない生海苔ですが、富津市では生海苔を使ったメニューを提供する飲食店が多くあります。
この生海苔は鮮度を保つため、すぐに撹拌タンクに収容。何段階もの洗浄機や異物除去機を通して、雑藻やゴミ、汚れをきれいな海水を使って徹底的に取り除いていきます。そしてミンチ状に細断し、脱塩します。海苔を食べたときに塩辛く感じないよう、真水で塩分濃度を調整するのです。
簾の上に海苔を漉いて、脱水をしてから乾燥させます。海苔の質によって湿度や温度を変えています。
この乾燥させたものを「乾(ほし)のり」と呼びます。現在は「焼のり」が主流ですが、昔はこの乾のりを食べる直前に焼いて食べていました。
この乾海苔の状態で、新富津漁業協同組合に出荷します。
ここまでが海苔漁師の仕事です。
【5】等級検査を受ける
出来上がった乾のりは、機械に通して重さや形状、異物をチェック。最後に千葉県漁業協同組合連合会の検査員による等級検査を受けます。色やツヤなどによって等級がかなり細分化されており、そのランクに応じて値段が決められていきます。
等級分けされた乾のりは共販所で入札にかけられ、海苔問屋などが落札。落札された海苔は各工場で焼のりなどに加工され、みなさんの食卓に届けられるのです。
■富津のソウルフードもお試しください!
漁師が海の上でも手軽に食事がとれることから広まり、富津で愛され続けてきた
「鉄砲巻き」。
海苔の上にご飯を敷いて、醤油で味付けをしたカツオ節をのせて巻くだけと超簡単♪ 漁師たちは切らずにそのまま食べます。その形が「鉄砲」の形に似ていることから、この名前が付けられました。
ご自宅で一度お試しください!